南(とキバ)はデメルまで来ていた。もう日が暮れかかっていた。
「ここはデメルの村。・・・つっても、俺はここにはあまり来たことが無いから、あまり知らないが。ま、お前の父さんが以前ここに来たのは間違いないと思うぜ。」と、キバ。根拠はもちろん、この町ですいかの生産が始まったのが、キバと太郎が出会うちょい前だからだ。「とりあえず、宿屋探そうぜ。」
その時、南がある家に目をとめた。焼肉のにおいがするのだ。もちろん南の一番好きな食べ物はかぼちゃだが、一応かるびの息子なので、焼肉も一番ではないがかなり好きな食べ物の部類に入っていた。もちろんすいかも。
南はその家をのぞいてみた。すると、その家で今まで一人で焼肉を食べていた少女が、南がのぞいている事に気がついた。
「あ、まずい!みつかった!」南があわてて逃げようとすると、その少女が南を呼び止めた。
「まってくださいっ!」
「え?」
「ああ!ずっとお待ちしておりました!王子様!」と、その少女。
「・・・えっ!!??」
「ちょっと、順を追って説明しろよ。」と、キバが言った。
「あら、王子様のお供ですか?」
「どっちかというと装備だ。」
「で、君はなんで僕のことを王子様だって・・・?」と、南。
「私はゆうがおといいます。実は、うちは貧乏で・・・。私は毎日夜も寝ずに働いているんです。」
「いや、そういう割には今日の夕飯焼肉だろ。」と、キバ。
「実は、私、小さい頃から好きだった本があるんです。内容を簡単に略しながら説明しますと、
――昔、あるところにかわいらしい女の子が住んでしました。女の子には意地悪な継母と義理の姉がいました。ある日、お城で舞踏会が開かれましたが、女の子は家でお留守番です。女の子が家で掃除をしていると、突然窓が明るくなりました。そして、女の子が窓の外を見てみるとそこには――かぼちゃをかぶった王子様が!!」
「ちょっと待て!内容略しすぎだろ!って言うかすでに話の趣旨が変わってる!かぼちゃをかぶった王子様ってなんだ!?」キバがツッコんだ。
「王子様、お願いです。私の為に婚約指輪をとって来てください。指輪は地下通路の奥にあります。」と、ゆうがお。
「う〜ん。どうしよう・・・。」と、南が悩んでいると。
「そういえば、その婚約指輪の入っている箱の隣の宝箱には、竜の玉というものが入っているそうです。」
『よし行こう!』キバと南の声がハモった。
「よろしくおねがいしますね〜。」
こうして二人は二つ目のダンジョンへ向かっていったのだった。
次回予告
うな「次回のタイトル、なんで『おまえのかーちゃん』なんだよっ!」
太郎「知らない。」
うな「南のかーちゃんっつったらかるびだろ?」
かるび「がつがつ」
うな「勝手にゆうがおの焼いた焼肉食うなっ!!」
太郎「次回も南の冒険をお楽しみに!」
うな「しめるなー!!」