南は、デメルで一通りのアイテムを買いそろえた後、デメルから歩いてすぐの洞窟に向かった。
「ここは山脈の洞窟っつーんだ。ま、俺はこの頃まだ太郎とあってなかったから、詳しいことはわかんねーけど、うなと太郎はここで出会ったらしいな。」と、キバ。
「うなさんとお父さんがここで?」南が聞いた。「さて、さっさとぬけよう!はやくかぼちゃが食べたーい。」
どんっ!
南は洞窟に入ってすぐのところで、何かにぶつかったのだ。
「いったたたたぁ〜。」
「いったぁ〜い。」
むこうからも声がしたということは、向こうは人間・・・と、決め付けるにはしゃべる剣やしゃべるうさぎがいる世界なので早合点だが、少なくともむこうが言葉を操る何者かである事は確かだ。
そして、むこうが言葉を操るほどの知能を持っているなら、一応ぶつかった事については謝ったほうがいい。
「うーん、ゴメンゴメン。大丈夫?」南はたいまつに火をつけて相手を照らした。
むこうは南と同い年か、少し年上くらいの少女。セミロングの、黄緑色の髪の毛に、髪と同じ色のドレス。少し気が弱そうな顔立ち。南は一瞬、普通の人間かと思いかけたが、耳があきらかに人間のものとは違うのだ。――ロップイヤーなので一瞬判別に戸惑ったが、うさ耳である。
「えっ?きみは・・・・。」南が言いかけたとき、少女のたれていた耳がピーンと立った。そして、どこからか金のハリセンを取り出すと、南をそのハリセンでたたいてこういった。
「・・・か・・・かぼちゃかよっ!!」
「・・・は?」「・・・え?」南もキバも面食らってしまった。
「やった・・・ツッコめた・・・。」少女の耳が再び垂れた。顔には緊張が解けたような安堵の表情が浮かんでいる。
「・・・って、待てよ。さっきの金のハリセン・・・。もしや金剛?」キバが言った。
「・・・キバ?キバやないか!むっちゃ久しぶりやな〜、元気しとったか?」と、その金のハリセンが「しゃべった」。すると、その金のハリセンは、次の瞬間、金色に輝く長剣に姿を変えた。
全く状況についていけない南は、しばらく呆然としていた。が、キバがそのことに気がついてあわてて説明した。
「あ、こいつは昔、すいか組と一緒に旅をしてきた長剣『金剛』!うなには戦闘中使うには重すぎたんだが、ハリセン変化ができるからツッコみ用に気に入って、すいか探しのたびが終わった時、太郎がうなに渡したんだ。・・・金剛、こいつが西瓜太郎とかるびの息子、西瓜南だ!」
「よろしく・・・。」南は緊張気味にいった。
「話はうなの旦那からきいとるで!かぼちゃを探して旅しとるんやて?」と、金剛。「ぴあ、お前も自己紹介したらどうなんや?」
「う、うんっ!」さっきの少女が飛び上がった。
「わ、私はうなお父さんとあぷるお母さんの娘で、『ぴあ』って名前なの。お父さんに、南君が心配だからツッコミをいれてやってくれって頼まれて・・・。ま、まだツッコミとか苦手だけど、がんばるね!」
「おーい、その発言がすでにボケてるけど大丈夫か?」と、キバ。「ところで、にんじんのうなとりんごのあぷるの娘ってことは、やっぱりお前も何かしら探してる食べ物があるのか?」
「うん、私が食べたいのはね、なし。」
「なんだ、なにもないのか?」
「え・・・、そうじゃなくて・・・なし・・・。果物の・・・。」
「ああ、そうか。そのなしか。」
「じゃあ、僕はかぼちゃを探して、ぴあはなしを探して、これから一緒に旅をするんだよね!」と、南。
「よっしゃ!かぼちゃ組結成や〜!!」と、金剛が叫んだ。
次回予告
うな「よし、つかみはバッチリだ。さすが俺の娘。」
かるび「焼肉が食べたいです。」
太郎「すいかが食べたい。」
うな「おっと、このメンバーで俺までぼけたらツッコミがいなくなるところだった。危ない危ない。」
かるび「うなさん、またハラミ肉になってください。」
うな「ならねーよ。次回は『ぶた ときどき ぴあ』だそうだ。明らかに『晴れ ときどき ぶた』のパクりのタイトルだな。」
かるび「晴れぶたは食べられますか。」
うな「だから食うなよ。」