かぼちゃ組は、次の町へ行くために山脈の洞窟を進んでいった。
途中、何匹かのろじきのこに出くわしたが、南の剣技で何とか倒した。
「南君、ゴメンね。私も何かしたほうが・・・。」と、ぴあ。
「ううん、平気だよ。それに、白い風で回復してくれるだけで十分助かってるし。」と、南。
「でも・・・。」
「いいのいいの。気にしないで。」
そんな話をしていた時。突然物陰からこぶたが飛び出してきた。
「・・・こぶただ!」と、キバ。南も普段ならこぶたなどどうという事がないのだが、いまはだいぶ前の戦いのダメージが残っている。
「逃げるぞ!」と、キバが言ったが、そこは行き止まりだった。入り組んだ洞窟なので気がつかなかったのだ。
「ぶーっ!」こぶたがぴあに突進してきた。
「ぴあ!あぶない!」
「縛り糸っ!」ぴあの指先から糸が吹き出る。こぶたはその糸でぐるぐる巻きになった。
「えっ!?ぴあ?」南はかなり驚いている。
「毒牙っ!」つづいてぴあは子豚にかみついた。
「よし、ぴあ!ようやったな!相手が毒で弱っとる今がチャンスや!」と、金剛。
「うん!これでとどめよ!」ぴあがこぶたにむけて、勢いよく金剛を振り下ろした。
「・・・ぴあって・・・、何?」と、南は呟いた。おとなしそうな女の子に縛り糸や毒牙なんかを見せられたら、驚くに決まっている。
「えっ?わたしは普通の魔物だよ?」と、ぴあはきょとんとした表情で言った。
そうである。父親が青ウサギの魔物なのだし、母親も魔物ではないがチョベリバなどの魔物のアビリティを身につけている。娘が魔物でも当然なのだ。外見に惑わされてすっかり忘れていた。
「ぴあ・・・凄いね。」南は呆然とそれだけ言った。
「ほら、急いで抜けんと、洞窟の中だから時間はわからへんが、外はもう夜かも知れへん。」と、金剛。
「そうだな。だいぶ進んだし、そろそろだろ。」と、キバ。
(ここを抜ければ、ポワンだな。)キバは思った。キバはかつて人間だった頃、魔女の討伐に向かう途中でポワンの町に立ち寄った事がある。あの頃はオークションが行われ、明るく栄えた街だった。今はどうなっているのか楽しみである。
「おーい、ぴあ、キバ、金剛!明かりが見えたよ!外だ、外!」と、南。かぼちゃ組みは勢いよく外へ出た。そこからは遠くにポワンの町明かりが見えた。
しかし、そのポワンは、牙の記憶にあったものとは全く異なる様子だった。
工場から黒煙が上がり、空を覆いつくしていたのだ。その工場にかかる垂れ幕には、「すいかが食べたい」と、書かれていた。
「な、なんだよこれっ!!」
次回予告
うな「なんだかポワンがエライ事になってるな・・・。原因オマエだろ!」
太郎「すいかが食べた〜い」
うな「聞いちゃいねーよ。」
かるび「次回のタイトルは「すいか戦争を止めろ」だそうです。」
うな「おいおい、オマエが原因で戦争になってるぞ!?」
太郎「すいかーすいかー」
うな「はぁ・・・お前に聞いた俺がバカだった。」