かぼちゃ組はポワンの町の東にある塔を上っていた。この塔はかつて試練の塔と呼ばれ男同士の誇りをかけた戦い、驚羅大二凶殺というイベントが行われていた。

そんな戦いの行われていた場所なのだから、出現する敵も当然外よりちょっと強い。

しかし、先ほど宿屋で気合を入れてきたかぼちゃ組にとって、外よりちょっと強い程度の敵はどうという事はなかった。

南の剣技やぴあの毒牙で魔物は次々に倒れていった。

 

あっという間に最上階に着いた。いや、屋根がないので最上階ではなく屋上なのだろう。

先ほど登ってきた階段の左側にはかつて驚羅大二凶殺で使われていた大岩が放置されている。

その大岩はすでに苔むしていた。おそらく、かなりの間使われていないのだろう。

むこうの方で、王様の格好をした男がミサイルの発射準備をしているのが見えた。

おそらく彼がすいか大王だろう。横にいる神官は、かつての初物神官の二世だろうか。

「おや、どうやらミサイル発射の邪魔が入ったようだな。」すいか大王が言った。

「ミサイルの発射をやめてもらいにきたんだ!」と、南は目的を率直に言う。

「ほう、面白い。何故ミサイルの発射を止めにきたのだ?」と、すいか大王。

「かぼちゃが食べたいからだ!」と、南。

「結局それかよっ。」ぴあがあわててツッコんだ。

「なるほど!しかし、私もすいかが食べたいのだ。ここで邪魔をされるわけにはいかん!」と、すいか大王。

「大王様、ここはかつて男同士の誇りをかけ、驚羅大二凶殺が行われていた場所です。」と、初物神官二世。

「ならば、おぬしのかぼちゃが食べたい誇りと、私のすいかが食べたい誇りをかけて勝負じゃっ!」すいか大王が言った。

こうして、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

「南!オマエの母さんのかるびも神官だから知っているとは思うが、神官は回復魔法を使う!奴から先に倒すんだ!」キバが言った。

「させるかっ!かぼちゃ帽子!おぬしの相手は私だ!初物神官二世はうさ耳の小娘をっ!」と、すいか大王。

「わかりました、大王様!」初物神官はぴあに殴りかかろうとした。その時。

「沸きひよこっ!」ぴあが叫んだ。

すると、足元からひよこが沸きあがって初物神官の頭の上でくるくる回り始めた。そして、初物神官は自分を攻撃しだした。

「よっしゃ!沸きひよこ炸裂やっ!」と、金剛が言った。「南、驚いたやろっ!沸きひよこはなぁ、地面からひよこを沸きださせて相手を混乱させる技なんやで!」

「・・・!ぴあ、金剛、危ない!」と、南が言った。ぴあの背後から初物大王が迫っていたのだ。

「きゃあっ!」ぴあがあわててかわそうとするが、よけきれない。

「加護!」南が言った。すると、ぴあの前に半透明の光のシールドが現れた。

「なにっ!!」と、すいか大王が南の方を振り向く。

「こうなったら、石つぶて!」すいか大王は足元にあった石を拾って、南の方に勢いよく投げつけた。

「うわあっ!」南はあわててよけたが、かすり傷を負ってしまった。

「南君、大丈夫?」ぴあがあわてて南に駆け寄り、白い風で回復をした。

「うん、全然平気!次はこっちの番だ!」南がすいか大王に切りかかった。しかし、受け止められてしまう。

「南君、下がって!」ぴあが言った。南はなんだかわからないまま、すいか大王と距離を置く。

「炎の息!」

「えっ!?」南はもの凄く驚いたが、ぴあはすいか大王と初物神官二世に向かって火を吐いたのだ。

・・・たまに忘れそうになるが、ぴあは魔物なのだ。

この攻撃で先ほどから自分を攻撃しまくっていた初物神官二世が倒れた。

「くっ、雑魚があがきよって・・・!」すいか大王が南に襲い掛かってきた。南はすいか大王の攻撃をキバで跳ね返すと、そのまますいか大王に切りかかった。

「ふっ、その程度の攻撃など聞かぬわ!」すいか大王は何とか持ちこたえたが、次の瞬間、すいか大王は地面に崩れ落ちた。

「な・・・なにがおきたんだ・・・」大王は弱弱しく呟いた。

「傷が二つ・・・まさか、2連撃か!?」金剛が言った。

「そう、南ももう、2連撃が使えるほどに成長したって事さ。」キバが言った。

 

そろそろ夕方である。南たちはかつて驚羅大ニ凶殺に使われていた岩を持ち上げて、ミサイルの上に落としておいた。ミサイルは簡単に壊れた。壊れたミサイルに夕日が反射して光っている。

「あーあ、でも、村人もすいかを楽しみにしてたんだろうな・・・。」と、キバが言った。

「・・・それを考えると、今村に戻ったら村人さんたちに何されるか・・・。」ぴあが憂鬱そうに言った。

「でも、今から次の町へ向かうのも無理やで。夜になってまう。」と、金剛。

「どうしよう・・・。」南が呟いた。

 

・・・南たちが戦っていた頃、この国の大臣により、ポワンにとってクレモンと反対側の隣国であり、すいかの生産地でもあるデメルとすいかの輸出入条約が結ばれたことを南たちが知るのは夜遅くなってから・・・。

 

次回予告

うな「なんだかんだでハッピーエンドか。よかったな。」

太郎「クレモンのすいかはどうなるの?」

うな「さあな。でも、お前もクレモンのすいかは食べる気ないんだろ?」

かるび「次回はクレモンですか?私達が初めて出会った場所ですね。」

うな「ああ、俺はいきなりハラミ肉にされたけどな。結局そこから1章強肉のままだったしな。」

太郎「次回は『謎の道具師「まつたけが食べたい」・・・?』だよ。」