かぼちゃ組はクレモン国の付近まで来ていた。

「・・・もうすぐクレモン・・・か。」と、キバが寂しげに呟いた。

「どうしたの?」ぴあが訊く。

「俺が剣にされたのは、クレモン城だからな〜。太郎とはその時以来の腐れ縁って奴よ。」と、キバ。

 

クレモン国には、クレモン城と呼ばれる大きな城がある。南の両親が出会った場所であり、キバが剣にされた場所でもあると、南は聞いていた。

そんなクレモン城の前に、かぼちゃ組は立っているのだが。

「あれ、扉に鍵がかかってるよ。」と、南。そう、クレモン城には鍵がかかっているのだ。

「あら、あの人、こっちに来るよ。」ぴあが城の横の通路にいる男の人を見て言った。茶髪を頭の後ろで結った、背の高い男だ。背中に背負っている茶色のリュックは、一般的な冒険者に比べて大きい。

「やあ、君たち、見たところ、旅人だね。ここに来る途中でまつたけを見つけなかったか?」と、その男。

「まつたけは見なかったよ。」と、ぴあ。「あなたは、かぼちゃかなしをみなかった?」

「・・・かぼちゃになしね・・・。みてないな。俺はたける。まつたけが食べたいんだ。君たちはかぼちゃとなしを?」と、その男。

「うん、わたしはぴあ。なしを探してるの。」

「僕は南。かぼちゃが食べたいんだ。」かぼちゃ組も自己紹介した。

「ふう、やっぱり、この大陸にはないのか?となると、やっぱり竜の玉を使うしか・・・。」と、たける。

「えっ、たける君も竜の玉を集めてるの?」ぴあが訊いた。「私達、もう二つ持ってるよ?」

「何、それは本当か?それなら、良かったら旅の仲間に入れてくれないか?」たけるが申し込んだ。

「いいよ、人数が多い方が安心だし。」と、南。

 

「おい、たける。いい加減かばんの中から出してくれないか。」たけるのかばんの中から声がした。

「・・・その声は・・・!飛爪!?」キバが言った。

「君達も破壊三剣の主なのか?」たけるが言った。「運命って奴だな。」

「さ・・・作者のご都合主義だろ。」ぴあがなんだか少しずれているが最もなツッコミをした。

「いいから出してくれ!」かばんの中の声が言った。

「解かった解かった。」たけるがかばんの蓋を開けてやると、中から一本の長剣が出てきた。

「俺は長剣『飛爪』。よろしくな。」と、その長剣が自己紹介した。

「ところで、この城に用があるのか?」と、たけるが聞いた。

「いいや、ただの見学や。」と、金剛。

「そうか。実は、このしろの地下に竜の玉があると聞いたんだけど。」と、たけるが言った。

「でも、鍵がなくちゃ入れないんじゃ・・・。」と、南。

「鍵なら持ってるよ。」と、たけるが淡々と言った。

「まじかよっ。」ぴあが軽くツッコミを入れる。

「いや、正確にはここの鍵ではなく、盗賊の鍵と呼ばれる、大体の扉の鍵は開けられる鍵だけどね。」と、たける。

「たけるは道具師だ。そのくらいのアイテムなら常備している。」と、飛爪が言った。

「そうなんだ。じゃあ、早速竜の玉を捜しに・・・。」南が中に入ると、すいかがこっちに転がってきた。

「食べないでください。助けてください。」と、すいかが言った。

「食べないよ。かぼちゃだったら食べるけど。」と、南。

「君は、20年前の事件の時にすいかにされた人たちの一人だね。」と、たけるがすいかに聞いた。

「かぼちゃだったら食べるのかよ。」ぴあはツッコもうとしてタイミングがずれたらしい。

「そこでじっとしていてくれないか。今すぐ元に戻すから。」たけるは言って、右手の人差し指にはめた指輪をかざした。そして、呪文を唱えた。

「マハリクマハリタ!」

すると、そのすいかから白い煙が立ち昇り、その煙の中から一人の兵士が現れた。

「ありがとうございます!」と、兵士が言った。

「そ、その指輪は・・・!?」と、キバが訊いた。

「ああ、この指輪は、以前この国でフェラン女王が使っていたものと同じ仕組みでね。物を他の物に変える力があるんだ。」と、たける。

「そうなのか!?実は、俺も以前、このしろで剣にされちまったんだ!元に戻してくれないか?」と、言うキバの声は少し興奮気味だった。

「そうなのか。・・・解かった!」と、たける。「南、そこにキバを置いてくれ。・・・マハリクマハリタ!」

キバから白い煙が立ち昇り、キバの姿が見えなくなった。それからしばらくして、煙が収まると、そこには一人の少年戦士が立っていた。

 

次回予告

うな「キバは人間に戻れたのか、良かったな。」

太郎「うな、いつにもなく共感してるみたいだけど」

うな「俺もうさぎに戻れた時は嬉しかったからな。」

太郎「でも次回いろいろあるらしいよ。」

うな「何!?そうなのか?次回は『再会、そして』だよな。・・・ところでかるびは?」

太郎「焼肉を食べに行ったよ。」